風邪の特効薬

「型通りに行きゃぁアンタなのかもしれないけどそれは違う。アンタは効き過ぎて俺様の熱が上がっちゃう」
だから触れてくれるな。と拗ねた様に呟いて、頭まで布団を被ってしまった。

ぴょんぴょんと、掛け布団から覗く赤い髪を見下ろしながら、嗚呼きっと今頃コイツは自分の髪よりも真赤な顔をしているんだろうなとは思うのだけれど、ココで布団を剥いでしまったら留まる事のない罵詈雑言を浴びる事になるのだろう、それはそれで面倒臭ェし第一益々風邪が悪化するだろうな。ととりあえず放置しておく事にした。

だからと言ってボンヤリと座っているのも芸が無い。まあ粥でも作ってやるか。と。
立ち上がりかけた俺の手を。
阻む、手。

「……」

常よりほんの僅か高い温度のその手。

「……ったく、素直じゃねェなァ」
「……っるさい！」

口調とは裏腹、ぎゅうっと強く握る子供じみた体温のそれに、俺は暫くボンヤリと座っている事にした。




……のっけから「なんなんだコレ」って小話ですみません。K堂です。
「風邪ひいたかも～」とかウンウン唸ってたんですが某夜更かしなお方から頂いたメールで一気に吹き飛びました。なんていうの？　アドレナリンとかドーパミンとか脳内麻薬物質がぐわって出た感じです。

風邪のひきはじめには萌が何よりの特効薬！　うをおおお！！　滾るわぁ！！　って溢れる思いを冒頭の小話に込めました(迷惑)。想いだけ空回りって感じですが偽者度倍増、甘さ増量でお送りしました。本編には一切登場しそうに無い二人ですが、たまにはこういう王道な小十佐もいいじゃん！　って自分に言い聞かせました。気にしたらそこで試合終了ですよ。

あ、そうか。続きを書くに書けばよかったんだ(反省)唐突にこんな小話出てきたらイヤがる方もいらっしゃるよね。多分。辺境サイトだけど。

でも風邪の引き始めには煩悩が何よりの薬です。それを実感しました。
治った～♪って喜んでうっかりネットの海に漕ぎ出しちゃって、続きが全く進んでないという体たらくですが(笑←笑えねえ)